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第8章 クズの純情

「あっ……、ははっ、そ、そうか……」

辰はどう答えていいかわからず、笑って誤魔化した。
今まで愛だ恋だと、そんな事には縁がなかった。
絢音には特別な感情を抱いているが、それをすんなり口に出来る程若くはない。
年が離れすぎている上に、自分がいかに最低な男なのか、自分自身が一番よくわかっている。

「私……本当に本気だから」

絢音は真面目な顔で言った。

「ああ、わかった……、いや、わかってる」

辰は気付かぬうちに絢音に恋をして、これ以上ない程好きになってしまった。
とっくに自覚していたが、好きだとは言えずに絢音の肩を抱き寄せた。


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