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第8章 クズの純情
「ああ、弾が掠ったんだ、何故今頃になって言うんだ?」

「多分、喧嘩かなって思ったけど……、でも小さい傷だから聞くまでもないかなって」

「そうか、ま、詳しい事は聞かねぇ方がいい」

辰は詳細を話すつもりはなかった。

「うん……」

絢音は安心したように笑顔を見せた。
親分の家では姐さんをはじめ皆に可愛がって貰い、あまり不安を感じなくて済んだが、心の中では常に辰の事が心配だった。


長く退屈な列車の旅は続いたが、車両が満員になるほど人が乗って来ない。
行きは多少人が多かったが、帰りは閑散としている。
田舎から街へ行く人はいても、街から田舎に行く人は少ないからだ。
辰は昼を食べた後で、ゴロンと横になって昼寝をし始めた。
足を曲げれば、多少はみ出すもののギリギリ座席の上で寝られる。

「辰さん、寝るの?」

「ああ、お前も横になって寝ろ」

辰は絢音にも寝るように勧めた。

「ううん、私はいい……」

絢音は首を横に振って断った。
こんな貴重な体験を、寝て過ごすのは勿体ないからだ。

窓は列車が動く前に辰に開けて貰った。
ちょうどいい感じで風が当たるように開けてある。
窓から見える景色は、たまに田畑があるがほとんどは山ばかりだ。
辰には酷くつまらない景色だったが、絢音は森の清涼な空気をめいっぱい吸い込んで、今この瞬間を決して忘れまいと、こっそりそう思っていた。



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