この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
縁
第9章 悪い癖
今もあの時と似通っている。
いくら辰が隠しても、辰が百合子を気に入ってるのはわかる。
辰の事が好きだから、どうしても嫉妬してしまう。
だけど、菜摘と別れた時に感じた悲しみや後悔……。
それが嫉妬する気持ちに待ったをかけていた。
「そっか……、心配してくれてありがとう」
百合子は密かにホッとした。
絢音は辰に好意を抱いているようだが、自分に嫉妬しているわけではなさそうだ。
自分の事を心配してくれるのは嬉しかったが、辰に関する事については触れられたくない。
「あの……絢音ちゃんはいつからここに?」
話題を変えて、絢音がここに居るいきさつを聞いてみた。
「私は……、10才の時に父に売られました」
絢音は伏し目がちに答えた。
「え……、お父さんに?」
百合子は深刻な表情で聞いたが、少女が商家や遊郭に身売りされるのは、わりとありがちな話だった。
「はい……」
幸運な事に、絢音は身売りされて何不自由なく暮らせるようになったが、父親との思い出は、何一つ良い思い出が浮かんで来ない。
「そう……、お母さんは?」
「小さい時に亡くなりました」
「じゃあ、兄弟は?」
「いません」
「そうだったの……、じゃあ女衒に売られて、ここに来たの?」
いくら辰が隠しても、辰が百合子を気に入ってるのはわかる。
辰の事が好きだから、どうしても嫉妬してしまう。
だけど、菜摘と別れた時に感じた悲しみや後悔……。
それが嫉妬する気持ちに待ったをかけていた。
「そっか……、心配してくれてありがとう」
百合子は密かにホッとした。
絢音は辰に好意を抱いているようだが、自分に嫉妬しているわけではなさそうだ。
自分の事を心配してくれるのは嬉しかったが、辰に関する事については触れられたくない。
「あの……絢音ちゃんはいつからここに?」
話題を変えて、絢音がここに居るいきさつを聞いてみた。
「私は……、10才の時に父に売られました」
絢音は伏し目がちに答えた。
「え……、お父さんに?」
百合子は深刻な表情で聞いたが、少女が商家や遊郭に身売りされるのは、わりとありがちな話だった。
「はい……」
幸運な事に、絢音は身売りされて何不自由なく暮らせるようになったが、父親との思い出は、何一つ良い思い出が浮かんで来ない。
「そう……、お母さんは?」
「小さい時に亡くなりました」
「じゃあ、兄弟は?」
「いません」
「そうだったの……、じゃあ女衒に売られて、ここに来たの?」