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第9章 悪い癖
◇◇◇

何も進展のないまま、1年半が過ぎた。

絢音は15才になっていた。
辰との約束まであと1年弱……。

今日は秋風が強く吹いている。
窓がガタガタ音を立てたが、季節の変わり目は天気が荒れる事が多い。
日差しを暖かく感じる昼下がり、絢音は炊事場で夕飯の用意をしながら、約束の日が来るのを待ち侘びていた。

ただ、少し気になる事があった。
百合子の事だ。
家庭教師は半年前にやめていたが、やめる理由は、絢音が年相応の学力を習得出来たから……という事だった。
絢音はもう少し勉強したかったが、辰との事がある。
家庭教師をやめる事で辰と縁が切れるなら、その方がいい。
そう思って特になにも言わなかった。

百合子は元気に過ごしているのか……心配だったが、売春宿や温泉宿には近づいては駄目だと言われている。
そもそもひとりで出歩くのは禁止だ。
かといって、辰に聞くのは嫌だったので百合子の近況を知る事は叶わなかった。







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