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第1章 温泉旅行
303号室と書かれている。

意外と達筆だと思いながら、ゴクリと唾を飲み込んだ。
これ以上やったら本当に妊娠するかもしれない。
そんな事になったら、拓巳と破綻する可能性だってある。

止めて欲しい……。

縋るように拓巳を見ると、大いびきをかいて夢の中だ。
真由は耳障りないびきに苛立ち、立ち上がって部屋から出て行った。
館内はスリッパなので、パタパタと音を立てないように静かに歩き、階段を上がって三階にやってきた。

手前から301、次に302、そして303……。
ドアの前に立ってノックしようか迷った。
やっぱりこんな事しちゃ駄目だ。
けれど、部屋に戻ったところで拓巳は寝ている。
ドキドキしながらノックした。

気配がして、ドアが開いた。

「お、あんたは」

出てきたのは弟分のひとりだった。

「あ、あの……」

真由はなにを言っていいかわからず、言いかけて言葉に詰まってしまう。

「おお、真由か、来てくれたんだな、へへっ」








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