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女喰い
第6章 弥八郎
お美代を預かった後、産婆はたまたま近所の人と話をした。
その時に彦兵衛の悪い噂を聞いたのだ。
惹かれ合う若い2人は、本来なら所帯を持って幸せになるべきだが、とは言っても……お美代の境遇は透けて見えている。
食い扶持を減らす為に奉公に出された娘は、例え逃げたところで行くあてがない。
そういう娘が旦那様の手つきになるのは、ちょくちょく耳にする話だ。
ただ、普通はもう少し年上になってからで、お美代は年を言ってはならぬと、旦那様から口止めされている。
これはいくらなんでも悪どい。
産婆は、思い切ってお上に訴え出てはどうかと思い、近所の人に相談した。
すると近所の人は急に声を潜め『あの廻船問屋、郷田屋は……裏で傾奇者を抱えている』という。
ならず者の小集団を金で飼い慣らしているらしく、近所の人は『触らぬ神に祟りなしだ、身内でもない娘の為に危ない橋を渡るのはよした方がいい』と忠告した。
産婆にはそんな危険をおかす勇気はない。
お美代に悪いと思い、役に立てぬ代わりに献身的に世話をした。
その時に彦兵衛の悪い噂を聞いたのだ。
惹かれ合う若い2人は、本来なら所帯を持って幸せになるべきだが、とは言っても……お美代の境遇は透けて見えている。
食い扶持を減らす為に奉公に出された娘は、例え逃げたところで行くあてがない。
そういう娘が旦那様の手つきになるのは、ちょくちょく耳にする話だ。
ただ、普通はもう少し年上になってからで、お美代は年を言ってはならぬと、旦那様から口止めされている。
これはいくらなんでも悪どい。
産婆は、思い切ってお上に訴え出てはどうかと思い、近所の人に相談した。
すると近所の人は急に声を潜め『あの廻船問屋、郷田屋は……裏で傾奇者を抱えている』という。
ならず者の小集団を金で飼い慣らしているらしく、近所の人は『触らぬ神に祟りなしだ、身内でもない娘の為に危ない橋を渡るのはよした方がいい』と忠告した。
産婆にはそんな危険をおかす勇気はない。
お美代に悪いと思い、役に立てぬ代わりに献身的に世話をした。