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女喰い
第6章 弥八郎
「おい、江衛門、いるか? 」
弥八郎は家の奥に向かって叫び、お美代は落ち着かない様子で見ていたが、やがて足音がして奥から男が現れた。
腰に脇差をさした袴姿の男で、歳は30位に見えるが、髷はところどころほつれ、パッと見浪人に見える。
「おう、弥八郎、なんだ、その娘が話をしていた娘か? 」
「ああ、そうだ、今日から長屋へ住まわせる、だからよ、お前に用心棒を頼みにきた」
お美代は2人のやり取りを聞き、この江衛門という浪人紛いな男は、旗本奴なんだと思った。
「ああわかった、しかし、夜はどうする、俺が寝泊まりしちゃマズいだろう」
「いや、居てもらわなきゃ困る、町奴を使うとなれば、夜中でも襲ってくる可能性があるからな」
「いや、しかし……、拙者はこの通り独り身だ、こんな可愛らしい娘と狭い長屋で寝所を共にしたら……、少々具合が悪いのではないか? 」
江衛門は困惑気味に聞いた。
「江衛門、貴殿は武士だ、武士はおなごにうつつを抜かすような事はねー、違うか? 」
弥八郎は確かめるように聞く。
「ああ、そうだ、確かに……、だがな、そうは言っても……、それは……そうであるべきという理想だ、現実は違う」
しかし、江衛門は自信なさげに答える。
弥八郎は家の奥に向かって叫び、お美代は落ち着かない様子で見ていたが、やがて足音がして奥から男が現れた。
腰に脇差をさした袴姿の男で、歳は30位に見えるが、髷はところどころほつれ、パッと見浪人に見える。
「おう、弥八郎、なんだ、その娘が話をしていた娘か? 」
「ああ、そうだ、今日から長屋へ住まわせる、だからよ、お前に用心棒を頼みにきた」
お美代は2人のやり取りを聞き、この江衛門という浪人紛いな男は、旗本奴なんだと思った。
「ああわかった、しかし、夜はどうする、俺が寝泊まりしちゃマズいだろう」
「いや、居てもらわなきゃ困る、町奴を使うとなれば、夜中でも襲ってくる可能性があるからな」
「いや、しかし……、拙者はこの通り独り身だ、こんな可愛らしい娘と狭い長屋で寝所を共にしたら……、少々具合が悪いのではないか? 」
江衛門は困惑気味に聞いた。
「江衛門、貴殿は武士だ、武士はおなごにうつつを抜かすような事はねー、違うか? 」
弥八郎は確かめるように聞く。
「ああ、そうだ、確かに……、だがな、そうは言っても……、それは……そうであるべきという理想だ、現実は違う」
しかし、江衛門は自信なさげに答える。