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女喰い
第6章 弥八郎
五作は隙を見て抜け出してきている。

「そうか、だったらいいが、あのな、誤解しちゃあれだから言っとくが、ここに用心棒を置く、親父はすぐに気づくだろう、町奴がきたら連れ戻されちまう、俺の知り合いに旗本奴がいる、そいつに用心棒を頼んだ、あいつならお美代ちゃんに手を出す事はねー、江衛門という名だ、だからよ、勘違いするなよ」

弥八郎は訳を話し、江衛門の事も話した。

「はい、江衛門……わかりました」

五作は江衛門と言う名を頭の中に刻みつけた。
お美代は2人の会話を聞きながら、長屋の中を見回した。
すると釜戸の前に木箱があり、野菜などが入れてある。
座敷の方を見れば布団が畳んで置いてあるし、行灯まで隅に置いてあった。

「あの……これは……、野菜や布団がありますが」

お美代は2人に向かって遠慮がちに聞いてみた。

「野菜はおらだ」

「他は俺だ」

先に五作が答え、次に弥八郎が言った。

「あ、あの、すみません、こんな事までして頂いて」

「おらは構わねぇ」

「俺もだ、こうするように言ったのは俺だからな、親父の奴、お美代ちゃんの事を気に入ってるみてぇだからな、ざまあみろだ」

またしても先に五作が答えたが、弥八郎はしたり顔で彦兵衛の事を言う。
お美代は彦兵衛の事を聞いて不安に駆られてきた。

「あの……、わたしは用心棒までつけて頂いて大丈夫だと思いますが、弥八郎さんは大丈夫なんですか? 」

弥八郎は傾奇者を追い払ってくれたし、渡世人として生きてきた。
腕っぷしは強そうだが、相手が複数だったら……。
お美代は弥八郎の事が心配だった。

「ああ、大丈夫だ、俺もそれなりに用心する、しばらくは旗本奴の奴らと行動を共にする、多勢に無勢だと不利だからな」

弥八郎もその辺りは考えている。

「そうですか……、でも気をつけてください」

ただ、それでもやっぱり心配になる。
もし自分のせいで怪我をするような事になったら、詫びて済むような事じゃない。

「ああ、心配してくれてありがとよ、気をつける、それよりな、ひとりで出歩くのは禁止だ、用がある時は江衛門と共にゆけ」

弥八郎は嬉しげに笑って礼を言ったが、逆にお美代の事を案じている。

「はい、わかりました」

お美代は頭を下げて頷きながら、弥八郎に対して、言葉では言い尽くせない位感謝していた。



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