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女喰い
第6章 弥八郎
「大袈裟だな~、ま、けどよ、武士ってのは、俺みてぇな腐れ商人の息子にはわからねぇ立派な考えを持ってるからな、この大きな衝立はその証だ」
「わかってくれるか」
「ああ」
2人が話をする間に、衝立が座敷に運び込まれた。
「運んだぞ」
衝立を運んだ2人は、江衛門に声をかけて座敷から降りる。
「ああ、すまぬ」
「いや、それじゃ、俺らは戻るわ」
江衛門が2人に声をかけると、2人のうちのひとりが答え、2人は連れ立って長屋を出て行った。
「よし、それじゃあ……、俺もそろそろ行くか」
弥八郎は項を掻きながら呟いた。
「あ、ちょっと待て」
すると江衛門が走り寄り、弥八郎の耳元に顔を近づける。
「ん……、な、なんだ」
弥八郎はあまりにも近くに接近され、困惑した顔で聞き返す。
「せ、拙者は……おなごと2人きりで過ごすのは初めてだ、お美代殿は飯を作っているようだが、馳走になってよいのか? 」
江衛門は声を潜め、真剣な表情で聞いた。
「当たり前だ、あのな、堅苦しいのは無しだ、もっと肩の力を抜いて、楽~にしろ」
なにかと思えば、取るに足らない事。
弥八郎は内心ニヤニヤしながら言った。
「そうか……楽~にか……、しかしながら、やはり緊張する」
江衛門はおなごと付き合った経験はない。
武家は無闇矢鱈に女人に鼻の下を伸ばす事を恥とみなすので、仕方がないと言えばそうなのだが、とは言っても江戸には多くの武士が集まる。
その為、幕府は遊廓を作った。
江衛門は旗本奴になったのだから、せめて遊廓にでも行けば、少しは女人に対して免疫がつくだろう。
しかしながら、江衛門は遊びにも疎かった。
色事にばかり熱中する彦兵衛とは対象的な男だ。
「だったらよ、お美代ちゃんの手伝いでもしたらいい」
「手伝いと言っても、料理はできぬ」
「じゃ、膳を運ぶとか、他にも……洗濯や掃除、その位はできるだろ?」
「わかってくれるか」
「ああ」
2人が話をする間に、衝立が座敷に運び込まれた。
「運んだぞ」
衝立を運んだ2人は、江衛門に声をかけて座敷から降りる。
「ああ、すまぬ」
「いや、それじゃ、俺らは戻るわ」
江衛門が2人に声をかけると、2人のうちのひとりが答え、2人は連れ立って長屋を出て行った。
「よし、それじゃあ……、俺もそろそろ行くか」
弥八郎は項を掻きながら呟いた。
「あ、ちょっと待て」
すると江衛門が走り寄り、弥八郎の耳元に顔を近づける。
「ん……、な、なんだ」
弥八郎はあまりにも近くに接近され、困惑した顔で聞き返す。
「せ、拙者は……おなごと2人きりで過ごすのは初めてだ、お美代殿は飯を作っているようだが、馳走になってよいのか? 」
江衛門は声を潜め、真剣な表情で聞いた。
「当たり前だ、あのな、堅苦しいのは無しだ、もっと肩の力を抜いて、楽~にしろ」
なにかと思えば、取るに足らない事。
弥八郎は内心ニヤニヤしながら言った。
「そうか……楽~にか……、しかしながら、やはり緊張する」
江衛門はおなごと付き合った経験はない。
武家は無闇矢鱈に女人に鼻の下を伸ばす事を恥とみなすので、仕方がないと言えばそうなのだが、とは言っても江戸には多くの武士が集まる。
その為、幕府は遊廓を作った。
江衛門は旗本奴になったのだから、せめて遊廓にでも行けば、少しは女人に対して免疫がつくだろう。
しかしながら、江衛門は遊びにも疎かった。
色事にばかり熱中する彦兵衛とは対象的な男だ。
「だったらよ、お美代ちゃんの手伝いでもしたらいい」
「手伝いと言っても、料理はできぬ」
「じゃ、膳を運ぶとか、他にも……洗濯や掃除、その位はできるだろ?」