この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
女喰い
第7章 助け舟
弥八郎は自分の中で葛藤していた。
彦兵衛の薄汚いやりようにはつくづく憤慨する。
それに、今回お美代を助けたとしても、彦兵衛はこの先も下女を慰みものにするだろう。
五作にまで酷い怪我を負わせ、江衛門が言うように最早人ではなく、己の欲を満たすだけの鬼なのかもしれない。
あんな男はいない方が世のためだ。
そんな事は重々承知だった。
しかしながら、死に至らしめるとなれば……そこで歯止めがかかる。
「お上か……、拙者は元そっち側だったからな、今でも付き合いがある奴もいる、いざとなれば口をきいてやるが、それにしても……親子と言うのは因果なものだな」
江衛門はため息混じりに言った。
「あ、あの……わたし、五作さんに会いたい」
お美代は2人の会話を聞く余裕はなく、思い詰めたように思いを口にする。
「ああ、気持ちはわかるんだが、会わねぇ方がいい、五作はな、生まれつきのアレで働き口がなくてな、親は困ってた、で、うちの親父が拾ったらしいが……安い給金で雇えるからだ、なのにこんな事になって、多分親父は五作がなにかとんでもねー失敗をやらかして、それで罰を与えたと適当な事を言ってる筈だ、親はガックリきてるだろうよ、五作自身もだ、お美代ちゃんが行ったところでどうにもならねー」
弥八郎は会いに行く事に反対だった。
五作は歩く事ができなくなっているし、五作の両親は、この先体の自由がきかなくなった息子を養わねばならない。
救いのない状況だ。
「でも……わたし、謝りたい」
謝ってどうにかなるものではなく、既に取り返しがつかないが、それでもお美代は五作に会いたかった。
「弥八郎、会わせてやろう、好きあった仲なんだ、五作だって会いたかろう」
江衛門はお美代の気持ちを考え、弥八郎に会わせてやるように促した。
「うーん……、そりゃ俺だって」
弥八郎はいつかお美代と五作が逢い引きしていたのを思い出した。
それを思うと……江衛門が言うように、このまま会わずにいるのは酷な気がしてきた。
「どうしてもダメか?」
江衛門はもう一度聞いた。
彦兵衛の薄汚いやりようにはつくづく憤慨する。
それに、今回お美代を助けたとしても、彦兵衛はこの先も下女を慰みものにするだろう。
五作にまで酷い怪我を負わせ、江衛門が言うように最早人ではなく、己の欲を満たすだけの鬼なのかもしれない。
あんな男はいない方が世のためだ。
そんな事は重々承知だった。
しかしながら、死に至らしめるとなれば……そこで歯止めがかかる。
「お上か……、拙者は元そっち側だったからな、今でも付き合いがある奴もいる、いざとなれば口をきいてやるが、それにしても……親子と言うのは因果なものだな」
江衛門はため息混じりに言った。
「あ、あの……わたし、五作さんに会いたい」
お美代は2人の会話を聞く余裕はなく、思い詰めたように思いを口にする。
「ああ、気持ちはわかるんだが、会わねぇ方がいい、五作はな、生まれつきのアレで働き口がなくてな、親は困ってた、で、うちの親父が拾ったらしいが……安い給金で雇えるからだ、なのにこんな事になって、多分親父は五作がなにかとんでもねー失敗をやらかして、それで罰を与えたと適当な事を言ってる筈だ、親はガックリきてるだろうよ、五作自身もだ、お美代ちゃんが行ったところでどうにもならねー」
弥八郎は会いに行く事に反対だった。
五作は歩く事ができなくなっているし、五作の両親は、この先体の自由がきかなくなった息子を養わねばならない。
救いのない状況だ。
「でも……わたし、謝りたい」
謝ってどうにかなるものではなく、既に取り返しがつかないが、それでもお美代は五作に会いたかった。
「弥八郎、会わせてやろう、好きあった仲なんだ、五作だって会いたかろう」
江衛門はお美代の気持ちを考え、弥八郎に会わせてやるように促した。
「うーん……、そりゃ俺だって」
弥八郎はいつかお美代と五作が逢い引きしていたのを思い出した。
それを思うと……江衛門が言うように、このまま会わずにいるのは酷な気がしてきた。
「どうしてもダメか?」
江衛門はもう一度聞いた。