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女喰い
第7章 助け舟
3人は茶屋でひと休みした後で再び歩き出した。

半刻程歩いて山道へ入ったが、坂道になっていて両側に木が生い茂っている。

「この山を越えたら、じきに着く」

弥八郎はあと少しだという事を匂わせ、お美代を元気付ける。

「はい」

狭い坂道は石ころも沢山ある為、お美代にはキツかったが、弥八郎の言葉を聞いて一生懸命歩いた。

すると前方の木立の陰から、ガラの悪い男達が姿を現した。
江衛門は足を止め、弥八郎は辺りを警戒しつつお美代を庇った。
お美代はまた町奴だと思ったが、前回とは違う奴らが5人いる。

「こんな山ん中を歩いて、どこへ行こうってんだ? 」

その内のひとりが3人に歩み寄りながら聞いた。

「どこへ行こうが、お前らには関係ない事だ」

江衛門が答えたが、いつでも刀を抜けるように身構えている。

「それがあるんだよな、おい弥八郎、お前、親父の持ち物を無断でかっさらうのはマズいんじゃねぇか? 彦兵衛さんは『ちゃんと話せばいくらでも貸してやる』と言った、そのお美代は彦兵衛さんの子を身ごもった、赤子は流れちまったが、彦兵衛さんはその娘をいたくお気に入りでな、妾にするつもりで可愛がってきた、弥八郎、お前なら女なんかいくらでも手に入るだろう、お美代は彦兵衛さんに返せ、娘をこっちに渡して貰おうか」

男は江衛門を無視して、その後ろに立つ弥八郎に向かって話しかけた。

「冗談言うな、俺は元郷田屋の若旦那だ、親父が何をしてきたか知ってる、下女をおもちゃにして、用済みになったら女郎屋に売っぱらう、赤子は端から育てる気はねぇ、お前らが山に捨てたんだろう、今までに何人赤ん坊を殺した? このお美代ちゃんだって、今は気に入ってると言っても、赤子を無理矢理産まされて飽きたら女郎屋だ、もう黙ってられねぇ、お美代ちゃんは意地でも渡さねぇぞ」






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