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女喰い
第7章 助け舟
一方、お美代は長屋にひとりでいた。
彦兵衛には散々な目にあわされたが、五作によって呆気なくこの世を去った。
これでもう町奴が襲ってくる心配はない。
晴れて自由の身だ。
お菊の事は本当に気の毒に思うが、今後は同じ目に合う人間もいない。
但し、五作はその為に犠牲になったようなものだ。
とっくに日が暮れていたが、お美代は灯りもつけずに座敷に座っていた。
暫く経って江衛門が戻ってきた。
「拙者だ、遅くなってしまったが、今戻った」
江衛門は戸口を開けて真っ先にお美代を探した。
すると、お美代は真っ暗な座敷に座っている。
心配になって声をかけた。
「お美代ちゃん、大丈夫か? 」
「はい、わたしは大丈夫です、それより五作さんが……」
お美代は五作の身を案じ、気が気ではなかった。
「大丈夫だ、俺の仲間が動いてる、それに俺も早速知人に会ってきた、きっと死罪は免れる、そのーところで……郷田屋は死んだ、町奴もこれで襲ってはこないだろう、拙者は……ねぐらに戻ろうと思うんだが」
江衛門はちょっと気が早いのでは?と思いつつ、言いにくそうに切り出した。
用心棒の役目は不要になったからだが、江衛門が元々いた商家紛いな家は、旗本奴のアジトだ。
「あの……、ご迷惑でなければ……今しばらくここにいてくれませんか? 」
お美代は五作の事が心配で不安に押しつぶされそうだった。
五作がどうなるか、すぐにはわからない。
その間、ひとりきりで過ごすのは耐えられそうになかった。
「五作の事で不安なのか? 」
江衛門もすぐに想像がついた。
「はい……」
お美代は膝に置いた手を握り締めて頷く。
彦兵衛には散々な目にあわされたが、五作によって呆気なくこの世を去った。
これでもう町奴が襲ってくる心配はない。
晴れて自由の身だ。
お菊の事は本当に気の毒に思うが、今後は同じ目に合う人間もいない。
但し、五作はその為に犠牲になったようなものだ。
とっくに日が暮れていたが、お美代は灯りもつけずに座敷に座っていた。
暫く経って江衛門が戻ってきた。
「拙者だ、遅くなってしまったが、今戻った」
江衛門は戸口を開けて真っ先にお美代を探した。
すると、お美代は真っ暗な座敷に座っている。
心配になって声をかけた。
「お美代ちゃん、大丈夫か? 」
「はい、わたしは大丈夫です、それより五作さんが……」
お美代は五作の身を案じ、気が気ではなかった。
「大丈夫だ、俺の仲間が動いてる、それに俺も早速知人に会ってきた、きっと死罪は免れる、そのーところで……郷田屋は死んだ、町奴もこれで襲ってはこないだろう、拙者は……ねぐらに戻ろうと思うんだが」
江衛門はちょっと気が早いのでは?と思いつつ、言いにくそうに切り出した。
用心棒の役目は不要になったからだが、江衛門が元々いた商家紛いな家は、旗本奴のアジトだ。
「あの……、ご迷惑でなければ……今しばらくここにいてくれませんか? 」
お美代は五作の事が心配で不安に押しつぶされそうだった。
五作がどうなるか、すぐにはわからない。
その間、ひとりきりで過ごすのは耐えられそうになかった。
「五作の事で不安なのか? 」
江衛門もすぐに想像がついた。
「はい……」
お美代は膝に置いた手を握り締めて頷く。