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女喰い
第7章 助け舟
「そうか……、拙者は構わない、ここにいれば美味い飯が食えるからな」

アジトに戻れば、全て自分でやらなければならなくなる。

「では、よいのですか? 」

「ああ」

お美代が望むなら、断わる理由などなかった。

「ありがとうございます」

お美代は頭を下げて礼を言う。

「ははっ、そんな……礼を言われるような事ではない、世話になるのは拙者の方なんだからな」

江衛門は照れたように笑って言ったが、頼りにされるのはやたら気分がよかった。
真っ直ぐに釜戸の前に歩いて行くと、火起こしを始めた。
何はともあれ、火を起こさねば灯りすら灯せないからだ。

「あ、すみません……、やります」

お美代は慌てて座敷から降りると、草履を履いて江衛門の傍に駆け寄った。

「よいよい、構わぬ、火起こしは面倒だからな、拙者がやる、で、飯はどうする? たまには何か食いに行くか」

火は種火として置いておけばいい。
もう町奴を気にする必要はないのだから、お美代を連れて飯屋に行こうと思った。

「でも、いいのですか? 」

「ああ、町奴を用心して長屋に閉じこもっていたからな、な、行こう」

江衛門は火ふき竹に息を吹き込んで強い口調で誘う。

「あ、は、はい」

お美代は勢いにおされてコクリと頷いた。




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