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女喰い
第7章 助け舟
「うむ、五作の事はあるが、ひとまず気晴らしだ」
ちょうど火が燃え上がってきたが、江衛門はひとまず火種が絶えぬように措置をした。
その後で、お美代を連れて出かけた。
「弥八郎は肩を撃たれたが、今頃は医者に行ったであろうか」
飯屋に向かって歩きながら、斜め後ろに振り向いて言った。
「あっ、そうですね……、弥八郎さん、大丈夫かな」
お美代は五作の事で頭がいっぱいになり、怪我の事をうっかり忘れていた。
「ああ、まぁーかすり傷だ、大事はなかろう」
撃たれたのが肩という事もあって、江衛門はさほど深刻に思ってなかった。
その頃弥八郎は……。
医師の家で治療を受け、弾を取り出した直後だった。
「弾は取り出した」
「そうかい……、しかし、痛てぇな」
「そりゃ抉り出したからな、痛いに決まってる」
「ふうー、やれやれだぜ」
弥八郎は是が非でも五作を助けるつもりだが、ふと気持ちが楽になっていた。
彦兵衛があの世に行き、長年の恨みつらみが消えていくような気がした。
遺体は無縁仏にしてくれと、役人に頼んだ。
郷田屋の跡目にはしっかり者の番頭が適している。
家の中が穏やかになれば、きっと母もよくなるに違いない。
腕に包帯を巻かれ、締め付けられて痛みが走ったが、力が抜けたようにふうーっと溜息をついていた。
ちょうど火が燃え上がってきたが、江衛門はひとまず火種が絶えぬように措置をした。
その後で、お美代を連れて出かけた。
「弥八郎は肩を撃たれたが、今頃は医者に行ったであろうか」
飯屋に向かって歩きながら、斜め後ろに振り向いて言った。
「あっ、そうですね……、弥八郎さん、大丈夫かな」
お美代は五作の事で頭がいっぱいになり、怪我の事をうっかり忘れていた。
「ああ、まぁーかすり傷だ、大事はなかろう」
撃たれたのが肩という事もあって、江衛門はさほど深刻に思ってなかった。
その頃弥八郎は……。
医師の家で治療を受け、弾を取り出した直後だった。
「弾は取り出した」
「そうかい……、しかし、痛てぇな」
「そりゃ抉り出したからな、痛いに決まってる」
「ふうー、やれやれだぜ」
弥八郎は是が非でも五作を助けるつもりだが、ふと気持ちが楽になっていた。
彦兵衛があの世に行き、長年の恨みつらみが消えていくような気がした。
遺体は無縁仏にしてくれと、役人に頼んだ。
郷田屋の跡目にはしっかり者の番頭が適している。
家の中が穏やかになれば、きっと母もよくなるに違いない。
腕に包帯を巻かれ、締め付けられて痛みが走ったが、力が抜けたようにふうーっと溜息をついていた。