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女喰い
第5章 淫欲に塗れる中で……。
いきなり呼ばれ、お美代はギクッとして手をとめると、手拭いを後ろへやって隠した。

「お菊ちゃん……、起きてたの?」

「うん、お美代ちゃん、五作さんとそういう仲だったんだ」

お菊は五作の事を口にする。

「あの……」

お美代は答えあぐねた。
五作との事は秘密にしなければマズい。

「大丈夫、誰にも言わない」

お菊はお美代の事が好きだから、陥れるような真似はできない。

「うん、そう……」

それはお美代とて同じ事だった。

「そうなんだ、いいな、五作さん、激しいから……あたし興奮しちゃった」

お菊は冗談めかしてお美代を羨んだ。

「ごめんね……、お菊ちゃんいるのにあんな事して」

でも、お美代はお菊に悪いと思って謝った。

「ううん……、いいの、ね、お美代ちゃん、一緒に寝ていい?」

お菊は無性に切なくなり、お美代に頼んだ。

「うん……」

お美代は頷き、寝衣を着直してお菊の布団に入った。
高枕を並べて身を寄せたら、偶然お菊の腹に手が触れた。

「お腹、大分膨らんできたね」

お腹を優しく撫でて言った。

「うん……、あたし……この子を産んで愛せるか……自信ない」

お菊は顔色を曇らせて呟く。

「気持ちはわかる、わたしだってもし旦那様の子を身ごもったら……愛せる自信なんてない、だって……そんなの当たり前だと思う、わたしは下働きにきただけで、旦那様の相手をする為じゃない、無理矢理体を汚されて……無理矢理子を孕まされて……、その子供を愛せる方がどうかしてる、母になればって言うけど、そんなのは他人が勝手に言ってる事」

お美代はお菊に同調した。
彦兵衛はお菊が懐妊した途端、お菊には目をくれようともしない。
若い娘ばかり狙って手をつけるが、本当にただの玩具扱いだ。

「うん、そう言ってくれたら気が楽になる、ありがと」

お菊は嬉しそうに笑ってお美代の手を握った。

「ふふっ、うん、もう寝よ」

お美代はお菊の額に唇をあてがい、軽く吸って促した。

「そうだね、お美代ちゃん、あたしより年下なのに、しっかりしてて頼りになる」

お菊は安堵した気持ちになり、2人は手を繋いだまま寄り添って眠りについた。



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