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女喰い
第5章 淫欲に塗れる中で……。
屋敷へ戻ってきたら裏口から入り、まっすぐに蔵へ向かったが、蔵の前には番人はいなかった。
不審に思って蔵に入ってみると、お菊の姿はどこにもなく、畳や布団も跡形もなくなっている。

「お菊……どこへ行ったんだ? 」

五作は首を傾げていたが、お菊はやってきた迎えの者に連れられ、女郎屋に行った後だった。


これでまたお美代はひとりになってしまい、五作から一連の出来事を聞いて酷く心を痛めた。
彦兵衛は赤ん坊を殺すつもりだった。
我が子なのに……既に人ではなく、鬼だ。
それに、お菊の行方がわからない。
身寄りのない若い娘が行く所といえば、女郎屋が浮かんでくる。
鬼のような彦兵衛なら、女郎屋へ売り払う事も十分考えられる。

お美代は彦兵衛の事が今までに増して嫌いになった。
嫌悪感すら覚えた。
タミコの赤ん坊は山の獣に食われてしまったに相違なく、タミコは今頃女郎屋で……。
それらは全て己の欲を満たす為にやった事だ。

この世に神仏がいるならば、彦兵衛に天罰を与えて欲しい。
お美代は憤ってそんな事を思ったが、五作には感謝していた。
お菊の子は僧侶に拾われて命拾いするだろう。
それが、せめてもの救いに思えた。


しかし、彦兵衛の意識はまたしてもお美代に集中し、お菊が居なくなったその夜に彦兵衛に呼ばれた。
お美代はお菊の事が大きな蟠りとなっている。
単に寝るだけでも辛いものがあるが、彦兵衛はまたしても薬を使った。

媚薬で否が応でも感じてしまい、お美代は苦渋を滲ませた表情で極みに達する。

「んううっ……、あぁっ! 」






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