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女喰い
第5章 淫欲に塗れる中で……。
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お菊がいなくなって半年が過ぎた。
お美代は毎日のように彦兵衛に抱かれ、遂に最悪な事態を迎えていた。

たった11で、彦兵衛の子を宿してしまったのだ。
お美代は落胆し、生きる気力さえ薄らぎ始めていたが、彦兵衛は懐妊を喜んでいる。
産まれてくる我が子を屋敷に残すつもりはないが、ちゃんとした家に養子に出すと言った。
彦兵衛には既にいい歳をした息子がいたが、女漁りに興じる彦兵衛に嫌気がさして、家を捨てて渡世人になっている。

五作はお美代から懐妊した事を聞いたが、それでもお美代の事を一途に思い続けた。
また欲求が溜まっていたが、腹に子がいる為、無理強いをする事はなかった。
それよりも、出来るだけお美代の力になろうと思い、事ある毎にお美代の手伝いをした。

だがお美代は五作に向かって、自分の事は諦めるようにと、そう言った。
子を産み落としたら、正式に彦兵衛の妾になる。
五作とは縁がなかったんだと、自らに言い聞かせていた。

けれど、五作は諦めきれなかった。
自分にはどうにもできないとわかっていながら、お美代の手助けをした。

そんな日々が数ヶ月続き、お美代の腹が目立ち始めた。

彦兵衛はこの時を待っていた。
ある日、真昼間からお美代を連れて茶屋に入った。
連れ込み茶屋だ。
座敷をひとつ借りてそこにお美代を連れて入ったが、わきにもうひとり、見知らぬ男が小さな台を自分の前に置いて座っている。
台の上には紙が置いてあり、男は頭に頭巾を被って筆を持っている。
男は絵師だった。
彦兵衛は淫行を絵にして残そうと思っていたので、金を出して春画を描く絵師を頼んだのだ。

「泉、それじゃ始めるが、綺麗に描いてくれ」

彦兵衛は絵師に言って羽織を脱ぎ、衝立にバサッと掛けた。

「はい、わかりました」






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