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女喰い
第6章 弥八郎
ちょうど座敷の掃除をする者がいた。
声をかけ、内密にするように念押しをして訳を話した。
店の者はこの近くに産婆がいると言い、お美代はそこに運ばれる事となった。
それから半日後にお美代は赤ん坊を産み落とした。
赤ん坊は男児だったが、生まれるにはまだ早すぎる。
死産だった。
お美代は長屋住まいの産婆の家に置いて貰える事になり、狭い座敷に布団が敷かれた。
疲れきった体を横たえたら、産婆は忙しそうに動きながらお美代を見た。
「お美代ちゃんって名前だっけ、よく頑張った、赤ん坊は死んじまったが、死ぬような赤子は縁がなかったんだ、ゆっくり休むといい」
産婆は年老いた老婆だが、優しい言葉をかけてくれる。
けれど……赤ん坊がこんなに早く産まれてしまった理由を考えたら、涙が零れてきた。
「うっ……」
「おやおや、ま、そりゃショックだよね、泣きたきゃ泣きな、気が晴れるまで泣けばすっきりするさ」
産婆には事情などわからないが、お美代はどう見ても12、3才に見える。
こんなに幼い娘がやや子を宿す。
そして、連れてきたのは大棚の旦那だ。
どことなく勘づいていた。
にっちもさっちもいかない境遇に置かれる事は、世間じゃありがちな事だ。
兎に角励ました。
声をかけ、内密にするように念押しをして訳を話した。
店の者はこの近くに産婆がいると言い、お美代はそこに運ばれる事となった。
それから半日後にお美代は赤ん坊を産み落とした。
赤ん坊は男児だったが、生まれるにはまだ早すぎる。
死産だった。
お美代は長屋住まいの産婆の家に置いて貰える事になり、狭い座敷に布団が敷かれた。
疲れきった体を横たえたら、産婆は忙しそうに動きながらお美代を見た。
「お美代ちゃんって名前だっけ、よく頑張った、赤ん坊は死んじまったが、死ぬような赤子は縁がなかったんだ、ゆっくり休むといい」
産婆は年老いた老婆だが、優しい言葉をかけてくれる。
けれど……赤ん坊がこんなに早く産まれてしまった理由を考えたら、涙が零れてきた。
「うっ……」
「おやおや、ま、そりゃショックだよね、泣きたきゃ泣きな、気が晴れるまで泣けばすっきりするさ」
産婆には事情などわからないが、お美代はどう見ても12、3才に見える。
こんなに幼い娘がやや子を宿す。
そして、連れてきたのは大棚の旦那だ。
どことなく勘づいていた。
にっちもさっちもいかない境遇に置かれる事は、世間じゃありがちな事だ。
兎に角励ました。