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勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第15章 自由
 乱暴にされていないとは答えたが、先ほどの激しい交わりを思い出し、熱くなった頬を隠すように両手を当てる。

 脳裏に、強く求めあった男の姿がよぎった。

(あんな……激しくされたのに私、すごく気持ちよくなって……)

 それどころか欲しくて我慢できず、はしたなく自ら腰を揺らしていたのだ。主人に尽くし、力を与えるための道具に過ぎないのに。

 あああ、と自己嫌悪に陥りながら、フィーネは両手で顔を覆った。そんな彼女の行動を、アンジェラが不安そうに見つめている。

「フィーネ様? 本当に大丈夫ですか?」

「だ、大丈夫です……。本当に大丈夫ですから……」

 もうそれ以上、この話題には触れないで欲しい。と、思う反面、

(でも……少しだけ嬉しいかもしれない)

 心の中で、そっと呟く。

 こうして自分の身体や、尊厳を気遣ってくれる人がいる。

 フィーネには、それがとても新鮮だった。
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