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Q 強制受精で生まれる私
第9章 3.5度目
「へぇ。その先生にはできるのに貴方は何もできないんですね。医者の矜持とか散々言っておきながら何も出来ない役立たずなら、医師免許返上すべきじゃないかしら。」

「いえ、ここでも治療はできますよ。癌の箇所を子宮頸部ごと円錐上に切り取るんです。入院時期も短いですしこれなら簡単に治療でき…どうしたんです、そんな怖い顔して?」

「貴方…あの人に嘘をついたのね!? 子宮を切り取るなんて、そんなことしたら子供できないじゃない!! それをあの人に勧めるなんて貴方それでも人間なの!?」

「どうして女性というのはこう、話を最後まで聞かずにヒステリックになるのか…切除すると言っても頸部だけです。体部は残りますから妊娠も出産もできますよ。それに紹介した病院では光免疫療法を取り入れています。病状も軽いですし、恐らく手術はせずにそれで長期間かけて治療することになると思いますよ。」

 先生はやれやれと呆れながらも、医学の知識を持ち合わせていない素人に説明してくれた。私にやったことを除けばこの人は真っ当な医者であるということが、この知識をひけらかす所からひしひしと伝わる。その態度がさっきから燻っていた苛立ちに火をつける。

「…どうして? それだけの知識を持っていながら、どうして私だけあんなことをするの!? どうして他の人には医者として相手するのに、私だけ姦淫するの!? 貴方は私の何なの!?」

「私は浜園さんの主治医です。それ以上でもそれ以下でもありません。別に不公平でも何でもなく、医者としてその人に合った処方を行うだけです。浜園さんは快く思ってらっしゃらないようですが、あれらは姦淫等では決して無く、ちゃんとした治療なのです。」

「そんな俺様理屈が通ると思って!? 手頃で好みな女が来たから食べているだけでしょうが!! 何にも憶えていない、行く宛も無いというおまけ付きで!!」

「ふふっ…まさか。こんなこと直接言うのは失礼極まりありませんが、貴方に対して好意を抱いたことなど一度もありません。下品な話、勃つか勃たないかと言われたら言わずもがなですが、それは他の女でも同じことです。生理現象ですからね。」
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