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Q 強制受精で生まれる私
第10章 4.0度目
 目が覚めると、私は辺り一面ほんのり赤く染まった部屋の中で、揺り籠に揺られていた。

 たしかさっきまで昼だったから、今は気を失ってから二、三時間近く経った所だろうか。この部屋の染まり具合。もう間もなく日が落ちるのだろうとジリジリと軋んでは痛む頭でもさすがに分かる。

 長くて三時間近く。長いようで短い気絶だったなと我ながら思う。セックスで気を失うのはもう何回目だろう。一生分の気絶を味わったせいか、戻ってくるまでが早くなったことに嫌な達成感を覚える。

 …そういえば。気になることがいくつかある。
 あの男の姿が見えないが、もう帰ってしまったのだろうか?
 あとさっきから揺らされているこの体。確か固いベッドで気を失ったはずだし、そもそも揺り籠なんて、この部屋には無かったような…


 そして何より一番気になるのは。私を縛り付けながら、背後ではぁはぁと熱く湿った空気を吹き付けてくる何者かがいるということ…


「う…そ…うそよ。そんな…こんな、こと…」

 嘘だ。これは悪い夢だ。幻覚だ。
 思い付く限りの逃避の言葉で自分に言い聞かせるも、目の前の現実…先生が尚も私と交尾を続けているという事実は覆ることはなかった。

 三時間。少なく見積もっても二時間は経っているはずだ。なのにこれは一体どういうことなのか。どうしてこの男はまだ動いていられるのか。もはや常軌を逸しているとしか言いようがない。夕暮れ一色で染まる辺りの景色が、まるで黄昏の様に私の終焉を告げる。
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