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Q 強制受精で生まれる私
第14章 5...? 度目
 どうでもいい他人の痴話話を延々と語り続ける女に、さすがの先生も閉口している。はははと笑いながら影を落として伏し目がちになるその表情は呆れや嫌悪だけでなく、何か特別な感情がないまぜになっているのがハッキリと見て取れる。

 そんな先生のことを真正面に見据えつつ、まるで無邪気な子供の様に…世間知らずのガキの様に汚い言葉を撒き散らす目の前の女は醜悪を通り越して汚物そのものだ。

「…今更説教なんてしたって無駄だってこと位、俺も分かっているさ。そうじゃなくて、医者として君の体が心配なだけさ。相手が重度な病気持ちだったらどうするのさ? それに暴漢に当たって怪我でもしたら…」

「性病貰ったらまーくんの所に行って治してもらうだけだよ。暴漢は…警察に突き出す位しかできないかな。リスクを冒してでも子供が欲しいってこと位、元カレなら分かるでしょ?」

 …まさかこんな女にお熱だったなんて、先生の悪趣味極まりなさに呆れを通り越して幻滅してしまう。私にしてきた様なことを他の女にもしてきたはずだと思っていたけど、まさかこの腐れ女だったなんて信じられない。一体この女と私の何がこの人の性癖に刺さったのだろうか?

 理解に苦しむ。
 共通点なんて何一つ無いのに。

「…あぁ。知っているさ…君の妊娠に対する執着はこの体で嫌という程に理解はしているつもりさ…だけど、それでも俺はやっぱり納得がいかない。いく訳がない。そんな身も心もボロボロになってまで…見ず知らずの男と来る日も来る日もセックスして…一体何になるっていうんだよ? なぁ、ほとぎ!?」

 膨れに膨れ上がった感情達が火山の様に噴き出し、先生は『ほとぎ』という名の女に向かって語尾を強めて問いただす。先生らしくない失望感が初めて露わになり、私は何故か心のざわつきを覚え始める。じわじわと広がるそれを私は的確に表現することができず、私を内から蝕んで苛ませる。
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