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Q 強制受精で生まれる私
第14章 5...? 度目
「嫌よ。名前は絶対変えないっていつも言ってるでしょ? 彼氏だったくせに私が何で子供が欲しいか忘れたの?」

「知っているさ。産まれた子供に普通の名前を付けてあげるんだろ? 男だったら太郎、女なら花子だなってあの頃は冗談で言い合っていたよな。」

「そんなこと言った? …そんな下らないこと覚えているなんて女々しいね。名前なんて普通なら何だっていいよ。その子が何事もなく普通の人生を歩めれば、私の人生が狂ったのはこの忌まわしい名前のせいだってアイツらに強く言える。幸せな家庭なんていらない。私は復讐さえできればそれで良いんだ。」

 元カップルの破局寸前紛いの喧嘩劇を見せられ、夢の中だということを忘れて思わず「はぁ?」と呆れが声に出てしまう。あまりにおふざけが過ぎていて、いよいよこの女に対する気持ち悪さが頂点に達する。

 前の夢でしきりに喘いでいて、好色な女だなと思ったけど、まさかそんな理由だったなんて誰が理解できるだろうか。こんなキ○ガイ女の股の誘惑に負けて精を放った男共がいるということが、異性である私でさえ情けなくてしょうがない。

「それも何度も聞いたさ。でも、そんなの…親の身勝手な呪いを一身に受けるなんて産まれた子が可哀想じゃないか。なぁ? いい加減自傷行為止めろよ? そんなことしたって何にもならないじゃないか。ただでさえ子供ができにくい体なんだし、このまま代わる代わる男に手を出したって、ただ君がボロボロになっていくだけだよ。」

「私がいくら傷つこうがまーくんには関係ないでしょ? それに子供ができにくい体はまーくんも一緒じゃん。精子ほとんど無いくせに、私だけみたいな言い方しないで。」

「ぐっ…だけど!!」

 痴女な上に自傷癖まであるどこまでも救えない女を、何としても思いとどまらせようと先生は必死に説得する。心配している素振りを見せつつも、自分の女でいて欲しいという欲がまるで隠せていない様は呆れを通り越して滑稽にさえ思える。こんなんじゃ聞く耳持たないのは当たり前として、どうしてこの人はここまでこの女に熱心なのか…もう訳が分からない。
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