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Q 強制受精で生まれる私
第14章 5...? 度目
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 二度目の目覚めを経験した私はまだ夢の中にいるのかと錯覚してしまう。見慣れた白の世界。ここが病院の中だということ位は寝起きの頭でもさすがに分かるのだが、自身が置かれている状況に違和感を覚える。

 昨日、私は先生とセックスした。
 いつもみたいに襲われることなく、自らここに戻り身体を差し出した。
 先生が、先生だけが私を受け止めてくれた。

 忘れるはずもない一夜を冷たい床の上で過ごしたはずなのに、私はベッドの上で裸のまま、肩まで暖かな温もりを持つ毛布にくるまれていた。あまり使われていないのか、優しいウールの毛布はまだその固さを保ち私の柔肌をチクチクと突き刺す。

 ベッドまで歩いた記憶は無く、私が気を失った後に先生がここまで運び、寝かせてくれたのは明白だった。このむず痒い毛布も寒くないようにとわざわざ引っ張り出したのだろう。

 起き上がろうとすると毛布の毛先が肌一色の体をチリチリと優しく引っ掻いていく。女の体というのは敏感に作られているものなのか、はたまたそう感じてしまう程にこの身はできあがってしまったのか、少し擦れるだけで僅かに仰け反ってしまい毛布をのける手が止まってしまう。

 熟れた桃色に染まる二つの山、陶器の様に滑らかな岩、丘に生い茂る黒い藪、皮を剥がれ剥き出しになった大木…それらを絶景かなと言ってわらわらと侵食する毛蟻達に、私はなす術無く小さく身体を震わす。

「あ…ふ、くぅ…」
 
 寝言の様にか細い色のある声を漏らしつつ、熱が高まるのを防ごうと僅かに寝返りを打とうとする様は、夢を見ている赤ん坊の寝姿を思わせる。絶頂から遥かに遠い位置で永遠と焦らされ続ける心地よさに、私はついに毛布の端を掴むその手を離しこそばゆい快感に浸ることを決める。

 すこしチクチクするとはいえ、日だまりとは違う温もりを持つ膜の中にいるのはとても心地が良く、母親のお腹の中に巣籠もる赤ん坊も同様な気持ちを抱いているのだろうなと勝手に想像する。
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