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Q 強制受精で生まれる私
第15章 6.0 度目
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 ちくりとした痛みで目が覚めた。

 虫刺されの様な痛みで目が覚めた私は、服も着ず体も洗わず、あのまま寝てしまったのだと朧気な記憶で思い出す。

 どうやら小人が入り込んでしまったようだ。下着も着けずに寝てしまったものだから、洞窟と間違えて入ってしまったのかもしれない。小人は伝説上の存在だと思っていたばっかりに、私はまだ驚きを隠せない。実在するのであれば世紀の大発見だ。起きたらあの人に報告しよう。

 そっと右手でお腹を擦る。小人は少し大人しくなるも、まだ安心しきれてないのかとくとくと蠢いている。なんだかひくひくと動くし食われてなるものかと噛みついて対抗しているのか、僅かに血を吸われているような感覚がする。大丈夫だよ、怖くないよ、と優しくあやしているつもりだけど、地震だとでも思っているのかもしれない。

 ふと目の前には、寝息を立てながら憑き物が落ちた様な顔をしている先生の手がある。

 私は大きくて逞しいその手を取り、洞窟の入口まで連れていき指を浅く挿入した。関節を優しく押し一定の間隔で屈伸させると、小人は外の怪物よりもこの中の方が安全だと思ったのか、それ以上蠢くことは無かった。


《完》
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