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Q 強制受精で生まれる私
第3章 1.5度目
 私はすぐに服を脱ぎ捨て、風呂場へ直行する。蛇口を全開にし、シャワーを局部に押し当てると同時に指を入れて必死に汚物を掻き出す。

 光の速さで出し入れするも、時すでに遅し。お湯で少し緩んだ残渣がまだその白さを保ったまま糸を引くだけで、尽きることがない。

「うぅ。お願い取れてよ。全部消えて、無くなってよ…」

 しばらく格闘してた私だったが、もう手遅れだと悟ると手の動きを止めて茫然自失となった。涙という物は枯れることはないのだろう。何度目か分からない嗚咽を漏らす私を、程よい熱の雨だけが慰めてくれる。

 今頃私の中はどうなっているのだろうか。知りもしない男の子種を受け入れ、自分が何者か分からぬまま自分の分身、子供が作られてしまうのかと思うと吐き気が止まらなかった。虚ろな瞳で前を見ると大きな鏡が曇らせながら無様な今の私を淡々と映していた。

 そういえば、私ってどういう姿をしているのだろう。

 恐る恐る鏡を手で拭うと、そこにはとても悲しい表情をした女の人が映し出された。どこかやつれていて、もやのせいかどんよりとした負のオーラをこれでもかとまとっており、お世辞にも美人とは言えなかった。

 どういう訳か、体の所々に痣みたいなのがある。きっとレイプの時に傷付けられただろう。そうに違いない。私は益々先生への憎悪を募らせた。

 とてもみすぼらしく、見るに絶えない姿。

 だというのに私は自身の姿を知れた安心感のせいか、自分のその醜い容姿にしばし魅入っていた。

 あんなことさえなければ、記憶のある私はさぞかし綺麗な人間だったのだろうなと思いながら。

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