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Q 強制受精で生まれる私
第7章 2.9度目
「ささ。もうこんな時間ですし、今日の診察は終了です。例の薬を切らしたとのことなので、また使って下さい。」

「ありがと先生。マジでいつも助かるよ。これが無いと怖くてできないからさー。」

 そう言って女の子は机に置いてある何かの錠剤の箱を手に取り、代わりに財布から900円を取り出して机に置く。薬の代金なのだろうか? ここで強制労働させられて一日しか経っていないけど、こんなに安い薬は無かった気がする。一体何の薬なのだろうか?

「あぁ、そうだ。最近重いということですので、こちらもつけておきます。サンプルとして一個だけ使ってみて下さい。料金は頂きませんよ。」

「えぇータンポンなんて嫌だよ。私が言うのも何だけどナカに入れるのはなんか怖いし。これさえあれば生理痛も心配要らないしね。」

「そうですか…これを使えば経血処理も楽なのですが、残念です。」

 先生が引き出しから出した『ソフトタンポン』と銘打たれてある箱には、膣奥深くに細長い尻尾がついたロケットが入っているイラストが添えられている。その姿がまるで精子に見えて、思わず鳥肌が立ってしまう。二人の話から察するに、このロケットみたいなのが血を吸ってくれるのだろうか。

「あの、ちょっといいですか?」

「うん? 私?」

 私は女の子にどうしても知りたい質問を投げ掛ける。先生に聞いた方が確実な情報が得られるだろうけど、まともに答えてくれるとは到底思えない。

「その。今もらった薬は何ですか? 怪しい物には見えないですけど…」

「は? …えぇー!! 嘘でしょ、ピル知らないの!?」

 いきなり大声で騒がれて思わず顔をしかめる。そんなに驚かなくてもいいのに、自分の無知をオーバーリアクションで返されて少しだけ不愉快になる。だけど、私が忘れてしまっただけで、女性にとっては常識なのだろうか。
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