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Q 強制受精で生まれる私
第9章 3.5度目
 ぐにゃりとしたゴムの感触が脳天を突き抜けて全身総鳥肌になる。同時にバチンと一際かん高い音が響き、それに合わせるかの様に「ひぃ!!」「あぁ出るっ!!」「イッイグっ!!」とそれぞれの声をかき鳴らす。腰を抜かしたトリオとなった私達は荒い吐息を漏らしつつそれぞれの感覚に身震いが止まらない。

 今、確かに感触があった。決して錯覚なんかじゃない。まだ一度も味わったことがないはずの、尻の感触…怖くなった私は確かめる様に、下敷きになっている醜い肉にも指先で一瞬だけ触れるも、やはりさっきの様な感触はおろか物体に触れた感じすら無かった。

 冷めやらぬ荒い吐息を漏らしながら上の肉塊は起き上がり、下の肉塊を放置して冷蔵庫にある水を取りに行く。上の肉の正体は男であることが分かった。何故なら顔がついていたからだ。誰かは知らないけど、中々に端正な顔立ちに思える…何となく『奴』に近い気がする。

 目の前に私がいるにも関わらず、男は恥ずかしげもなく少し萎みつつある一物を露にしている。やはりこれは夢であり、彼からしたら私はいないもの扱いらしい。なのにさっき触れられたのは何故なのだろう…私は誰とも知らぬこの男を本当は知っているということだろうか?

 一方下の肉塊の方は人間と呼んでいいのかよく分からなかった。どういう理屈なのか、その表情を読み取ることは不可能なほど顔面が大量の白い線で覆われているからだ。

 ぴくぴくと脈動するその姿は見ているだけで虫酸が走る。おまけに股先から二度と見たくなかった白い液体がベットにこぼれ落ちてくるのだから鳥肌物だ。その醜悪の姿のお陰で女なんだと分かったけど、こんな形で分かりたくは無かった。
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