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Q 強制受精で生まれる私
第9章 3.5度目
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 目を開けたら一面の白い世界が広がっていた。

 さっきまでの薄暗がりの世界とはうって変わった、心が落ち着く明るい世界。目の前には朝日が線になって射し込んでおり、白いシーツの海が大小の波を打っている。

 どうやら悪夢から覚めたようだ…いや、第二の悪夢が始まったというのが正しいだろう。シーツのシワの多さが私が夢でうなされていたことを物語っている。

 私は気だるい身体に鞭を打って室内をさまよう。昨日あの男…先生が言っていたシャワー室を見つけると私はドアを閉めて服を脱ぐ。全体通して汗臭く、股からももにかけて何かパリパリに乾いた物が蛍光灯に照らされてチカチカと輝いている。どちらも不快極まりないから、蛇口を目一杯開いて早々に洗い流す。

 黙々と熱めのシャワーを浴び続けている内に日々の疲れが押し寄せてくる。しんどさが全身にのし掛かり立っているのも億劫になってきた私は、行儀悪くタイルの床にぺたりと座り込む。乳白色の狭い天井を次々と埋め尽くしていく湯気が霧散するのを見上げながら、ぼやける思考でさっきの出来事を思い返す。

 また悪い夢を見てしまった…しかもこの前よりも酷い。

 どちらも共通するのは『ほとぎ』という気味悪い女が出てくるということ。
 そしてその女が何故か自分の名前を非常に嫌っているということ。そして…
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