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聖愛執信、或いは心中サアカスと惑溺のグランギニョル
第2章 ごみ捨て場の神さまと金の薔薇
「おはよう、まやちゃん。今日もきれい」
「ふふ、ありがとう。陽色も今日もきれいね」

 ごくごく自然な口調で己を誉める陽色に、ごくごく自然な口調で誉め言葉をくちにして、雅弥は微笑んだ。

 今日も聞いていたの、飽きないわね。

「だって、神さまだもん」

 だから、おれは、何があっても大丈夫なんだ。

 年にそぐわぬ子どもじみた口調も主張も、雅弥は笑わない。
 今朝も、そう、と真面目にひとつ頷く。歪であることを是とするこのサアカスの中では、雅弥が笑われることはない。だから、雅弥も誰かを笑わない。特段この素直な真紅は、真直ぐに雅弥を見つめてくれる。それはこの地獄で、確かに価値のあること、であるはず、だった。

 雅弥はしばしの逡巡の後、陽色の両手を取って立たせる。

「陽色にお客さんよ」
「おれに?」

 それは嫌がる己を無理矢理寝台に引っ張ってゆくような「客」なのだろうか。

 親友の顔がやたらと神妙で、ひとつ、こてりと首を傾げた。

 雅弥が来たところを見ると、違う気もする。
 花形の芸人が、接待として駆り出され、あまつさえ使い走りのようなことをするなんて、滅多とあることではない。
 おそらく、余程の上客。だとしたらますます、己が呼び出される意味が分からない。

 雅弥はじいっと、陽色のひとみを見遣る。

「なんだか、こう……変な感じのひとよ。気を付けて」

 親友の囁き声に、陽色は大きく首を傾げた。
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