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聖愛執信、或いは心中サアカスと惑溺のグランギニョル
第2章 ごみ捨て場の神さまと金の薔薇
「貴様ら、昨今巷を騒がせている連続殺人事件を知っているな」
「あああれですか、」
「あれでしょう、」
「「血まみれ道化師」」
「……なんだその低俗な探偵小説じみた通り名は」
露崎と金城がくちを揃えると、眼鏡の上官はあからさまに嫌そうな顔をする。金城はそれに毛ほども頓着せず、うつくしい髪を心なしか嬉し気に揺らしながら破顔した。
「ええ、『しかばね新聞社』の方が教えてくれて。私、文字は苦手なのですが、あそこの新聞は読みやすいです」
「新聞って云いますか、醜聞って云いますか、」
「……あそこが出しているものは八割が嘘で、残りの二割は野次馬根性だ。覚えておけ、金城」
「でも、私、長い文書は苦手です。お二人と違って貧民街出身ですから、学校にも、」
ごほん。
露崎がした咳払いより幾らも重たいそれを吐き出し、藤堂は強制的に金城の話も遮った。金城もおそらく、己が喋りすぎたと気づいたのだろう。眉を八の字にして、くちびるをきゅうと閉じている。ひとつ年下の彼女のそんな表情に、罪悪感すら湧く。
藤堂は申し訳なさそうな顔をしながら、そうっとストオブの方へと視線をうつした。
「そう、その、なんだ、まあいい。貴様らに合わせて、そいつを便宜的に『血まみれ道化師』と呼ぼう。ほら、きちんと帳面を用意して記録しておけ。一度で覚えられる人間などまれだ」
「あああれですか、」
「あれでしょう、」
「「血まみれ道化師」」
「……なんだその低俗な探偵小説じみた通り名は」
露崎と金城がくちを揃えると、眼鏡の上官はあからさまに嫌そうな顔をする。金城はそれに毛ほども頓着せず、うつくしい髪を心なしか嬉し気に揺らしながら破顔した。
「ええ、『しかばね新聞社』の方が教えてくれて。私、文字は苦手なのですが、あそこの新聞は読みやすいです」
「新聞って云いますか、醜聞って云いますか、」
「……あそこが出しているものは八割が嘘で、残りの二割は野次馬根性だ。覚えておけ、金城」
「でも、私、長い文書は苦手です。お二人と違って貧民街出身ですから、学校にも、」
ごほん。
露崎がした咳払いより幾らも重たいそれを吐き出し、藤堂は強制的に金城の話も遮った。金城もおそらく、己が喋りすぎたと気づいたのだろう。眉を八の字にして、くちびるをきゅうと閉じている。ひとつ年下の彼女のそんな表情に、罪悪感すら湧く。
藤堂は申し訳なさそうな顔をしながら、そうっとストオブの方へと視線をうつした。
「そう、その、なんだ、まあいい。貴様らに合わせて、そいつを便宜的に『血まみれ道化師』と呼ぼう。ほら、きちんと帳面を用意して記録しておけ。一度で覚えられる人間などまれだ」