この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
聖愛執信、或いは心中サアカスと惑溺のグランギニョル
第5章 探偵少女と見世物劇団
「陽色!」

 まやちゃん、と、陽色の薄いくちびるが象られる。

 なるほど、彼が、陽色が寝台で語った『お姫さま』なのだ。想像していた通り、きれいな顔をしている。男であるとは思わなかったが、これならふたりは随分と親しかったに違いない。まやちゃん、と呼ばれた彼は、しかし、賢明なのか、臆病なものか、陽色の名を呼んだきりその場を動かない。

「まやちゃん、あの、あのねえ、」
「君、昨日の朝のひとよね」

 陽色を飛び越え、真黒いひとみは西園寺を直接射抜いた。まるで華やかで、しなやかな獣だ。不用意なことは云わせない、という重みのある視線。

「いかにも、そうだけれど」
「陽色に変なこと吹きこんでいないわよね」
「いずれ君にもわかる」

 まやちゃん、は瞼をぱちぱちさせ、それから、なによう、と憤慨した。何ともかわいらしい口調で、今度は陽色に怒って見せる。

「陽色、このひといけ好かないわ。ちょっと趣味悪いよ!」
「ううん、うん、」

 泣き笑いのような、可笑しな表情を浮かべ、片目の男の子は幾度も頷いて見せた。うん、うん、でもね、

「とっても、とっても、きれいなの」

 彼は面食らったような顔をして、しばらく押し黙った。

 それから、そうね、と頷いた。
/101ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ