この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
聖愛執信、或いは心中サアカスと惑溺のグランギニョル
第5章 探偵少女と見世物劇団
 ふたりは女学校の幼友達のように、白い手を振り合って別れた。名残惜しそうに、悲しそうに。それから、少しばかり、切ないような、表情をして。

 雅也、という彼も、全てではないが、何とはなく、気づいているのだろう。
 この、異質な色彩を持つうつくしい少女が、己等に何をもたらすのか。

 ひとりは、舞台に上がるため、幕の内側へ。
 ひとりは、このサアカスを潰すため、訪れるのは団長の元。

 階段を上りながら、陽色はため息をつきつき嘆いた。おれ、まやちゃんの舞台を台無しにしちゃう。

「……あの子には、もっと相応しい舞台を用意するから、心配いらないよ」
「え、なに、どういうこと」
「君もそれを見てから、身の振り方を考えてはどうかね」

 手を引かれながら云う台詞でもないなと西園寺は思うが、思うだけだ。くちに出すことはしない。せめてこの頼りない華奢な男の子の前では、格好付けたかった。

 それに、君の生き方を決めるのは君であって、私ではないから。

 思ったことがそのまま行動に出たらしい。無意識に足を止めていた。手を引く男の子はほんの少し首を回して、こちらを眺めたようだった。

「おれはね」

 おれは、もう、決めてるの。

 一歩、一歩、崩壊にからだを近付けながら、何故だか今までになく力強く陽色は云った。
/101ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ