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聖愛執信、或いは心中サアカスと惑溺のグランギニョル
第7章 終幕
 似合わぬ紺色の制服を翻し、露崎は煉瓦造りの街並みを歩く。

 今日も、おおむね、平和。

 おおむね、というだけ。つい先日も、許可のない見世物小屋が興行していたのを取り締まったばかり。その見世物小屋も、西園寺の家の姉上さまが、逮捕された男のかわりに舵をとるようになってからは、奇妙ではあるものの、芸術として成り立つような、付け加えて云えばきちんと届け出を出した公演をしている、らしい。とは云え、ああして対症療法をするにも、限度があった。見えぬ闇は、たかが一警邏には、暴こうにも、暴けぬ。

 赤煉瓦で舗装された道、赤煉瓦で造られた塔。

 『しかばね新聞社』は、それなりに人気の読み物であるせいか、時計塔の周りにはいつにもましてひとがいない。怨霊が出ると噂の塔に、近づく物好きはすくないだろう。黒くて艶やかな階段、手すりに指を添えれば、ひどく冷たい。

 真鍮のノブを回し、露崎は勝手に扉を開ける。取り付けられた小さなドアベルがちりり、ちりりと鳴った。

 相変わらずおびただしい数の人形たち。寝椅子にかけているのは、大輪の花を咲かせる金の薔薇。

 ……と、その膝の上、ごろごろ、にゃんにゃん、あまえるように座っている、赤い目を心地よさげに細めた、仔猫だか坊やだかお人形だかわからぬ少年。

 すみれ色がこちらに向けられ、直後、不機嫌そうに細められる。どうやら、このうつくしいおひとは、あたらしく手に入れたお人形の髪をつくろってやっていたらしかった。
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