この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
性愛執心、或いは劣情パレヰドと淫欲のコンキスタドール
第3章 やきなおし
「私は曲がらないよ。君は……屹度、知っているのだろうとは思うけれど」

 何をされても、どうであっても、妥協は一切しない。

 そうやって生きてきたから、相対するひとびとの何かをたくさん曲げさせた。だから周囲に残ったのは、リオが曲げなくても平気なものか、己も決して曲がらないものか、どちらか。

 あの子はもしかしたら、そのどちらでもなかったのかもしれない。曲がったのは、狂ってしまったのは、あの子ではなくて、或いは。

 おかしなことに、紅の花模様が先ほどよりぼやけて見える。

「……あの頃君にされたことは未だに許せない。なのに、それでも、こうして君に会ってしまうあたり、私は根本では曲がらない、曲がれない、はず、なのだよ」
「……ううん、たぶん、そんなに難しいことじゃないと思うよ」

 懐かしい口調になった青年の顔を、咄嗟に見上げる。拍子に、片方の目蓋から、涙がひと粒、ころんとこぼれた。咖喱をもぐもぐと咀嚼しながら、千遥は続ける。ほら、理央ちゃんのそういう顔がいいんでしょ。

「……意味がわからないよ」
「綺麗なものがすきなくせに、自分のことはよく知らないんだから」
「……お姉さまにも以前似たようなことを言われたけれど、私の顔はうつくしいよ、知っている」
「……それはそうなんだけど!」

 あなたがあの子のことをどう見て、どう思っているか、きちんと確かめるのがいいですよう。

 唐突に元の従者めいた口調に戻り、千遥は深々とため息をついた。ああもう、やっぱり、惚気だったじゃないですか、帰りに高めのワインを樽で奢ってくださいね。

「ほら、涙を拭いて。……まあ、目の前で泣いてみるのも、一興かもしれないですけど」
/46ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ