この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
性愛執心、或いは劣情パレヰドと淫欲のコンキスタドール
第3章 やきなおし
陽色はため息をつき、おれこれでも真剣なんだよ、と文句をこぼした。

「うふ、わかっているわよ、そんなこと。陽色が真剣じゃないときなんて、あんまりないでしょう」
「……おれ、あんまり頭よくないから、冗談とかよくわからないの」
「もう、そういうことじゃないわよ」

 いつも真剣なのは、全然悪いことじゃないじゃないんだから。

 はい、と差し出された煎餅が、やや強引にくちびるを割った。控えめな塩味がくちの中で砕ける。

 陽色とあのひとは、出会った瞬間から今に至るまで、決してあまく艶やかな関係ではなかったけれど、お互いほんとうにほんとうに真面目だった。真面目にしかできないところが、よく似ている。誤魔化したりはぐらかしたり、そういうのが愛だか恋だかの刺激という話もあれど、下手に器用でいらぬほどに不器用だから、それもできない。

 陽色は、誰かと抱きあったり、頬をつつきあい、額を突き合わせてお喋りしたり、くちびるとくちびるを重ねたり、そういうことをしたためしが、微塵もなかった。何もかもがちぐはぐになってしまって、でもそれは屹度あのひとも同じだったのだ。

 少しずつ勇気を持ち寄った寝台の上は、例えるならば夢のようだった。だから、その先にまだ夢のような事態が待ち受けているとは、思うまい。

「……きれいだったの、ほんとうに」
「見たことなかったのよねえ。ありそうなのに」
「おれは最初の日風呂に入れられた時、さんざんじっくり見られてるけど」
「……インモラルだわ……」
「ふああ呆れた顔しないで!」

 するよ、させてよ、と云いながら、雅也は水羊羹をひときれふたきれみきれ、ぽんぽんくちに放り込んだ。ていうか、いいじゃん、そのまま云ってあげれば!

「そのまま」
「きれい! って云ってあげなさいよ」
「はずかしい!」
「胸やけがする!」
「なんで怒ってるの!?」
「怒ってないわよ!」

 陽色、私のためにチョコレイトケエキを頼むのよ、私のためにね!

 ぴしぴしと云われて、陽色は慌ててメニューを開いた。
/46ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ