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性愛執心、或いは劣情パレヰドと淫欲のコンキスタドール
第3章 やきなおし
 あのね、おれの膝の上に乗ってほしいの。

 彼からの思いがけぬ提案に、リオは寝台から転げ落ちた。膝の下で、リネンと淡い紅のネグリジェが、ずる、と滑った。

「……そんなことしたら君!」
「だいじょうぶだから、潰れないから」

 云おうとしたことを存外に強い口調で先回りされ、くちをつぐむ。

 所謂初夜に失敗したときから、同じ寝台にのぼるのは、少しだけ久しぶりだった。彼は今朝目を覚ましたときから何ごとかを決意していたようで、さて寝ようとミシンの前から立ち上がったリオの手を、いささか強引に引っ張って寝室まで連れてきた。

 まだ、そこそこ気まずさが残っている。

 己が気にしすぎなのかもしれないと思わなくもないけれど、もしかしたら、彼がこのからだを気に入らなかったのではないか、という想像はリオにとって存分に恐ろしかった。何せ化け物。一般的な感覚を持つ人間の恋愛対象には入らなくて当然なのだ。

 そこからの、膝抱っこ。

 しかもしてほしいのではなくて、したいのだという。
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