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性愛執心、或いは劣情パレヰドと淫欲のコンキスタドール
第3章 やきなおし
 促されるまま、そうっと彼の脚を跨ぐ。あんなにきれいに踊ることのできる脚だから、見目ほど脆くないことは承知してはいる。けれど、それにしても、どう見ても、細いことは、細い。寝間着の裾を捌いて恐る恐る腰を下ろすと、これまた細い腕が腰に回った。ぐいぐい引き寄せられて、体重を、からだをすっかり預けることになってしまう。

「……はあ、思ったよりしっかりしているけれど、怖いね」
「ご主人さまは思ったより軽いよ」
「うそ」
「ほんとだとう」

 いいにおい。あったかいなあ。

 肩口のあたりに小さな顔が埋まって、ふやふやと舌足らずな声が聞こえてきた。狭い背中と小さな頭に手を置いて、壊さないようにそうっと撫でる。それだけで華奢なからだが軽やかな笑い声で跳ねた。

 あのね、と、彼は優しい口調で囁く。あのね、ご主人さま、おれのこと、あんまり丈夫って思わないでしょ。

「でも、乗っかってみたら、あんがい丈夫じゃなかった?」
「……まあね、思ったよりは」

 この子は何を云いたいのだろう。リオは首を傾げて、彼の顔を覗き込もうと試みた。頬につやつやの髪となめらかな肌がこすれる。あまい匂い。
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