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性愛執心、或いは劣情パレヰドと淫欲のコンキスタドール
第4章 びやくしょや(なおくんとあかりちゃん)
「あ、はあ、ぃ、あ、」

 あれ、わたし、何がどうなってるんでしょう。

 ふわふわ、夢の中にいるみたいなのに、頭を痺れさせるようなあまい感覚は、やたらと生々しい。聞いたことないほど甲高い女の声が響いていて、他に誰か、と思って見回すが、他にいる人間と云えば、己の視線を上に向けた時、直が見えるのみ。

 上?

 ぱちぱち、数度目を瞬かせる。しかし何度考えてみても、直の顔は明莉の上にあった。普段はかけている眼鏡を、今ばかりは外している。そのせいか幾許幼げな顔に見えた。

 ふに。

 柔らかく触れた感覚はなんだろう。産毛と別のものの産毛が擦れる。

「ん、ん、」
「あかり、」

 直は確かに明莉の名を呼んだ。あまり覚えていないが、この部屋に上がらせてもらった時は直と明莉だけであったし、今この部屋にいるのはふたりきりであると考えるのが妥当だろう。

 ならこの声は?

「あ、あ、ひ、」
「明莉、痛くはないか、」

 あんなにからだの中を蠢いていた熱が、足の間から、とろりと溢れ出てゆくのがわかる。

 だと云うのに、熱い。必死に溺れそうになる感覚を手繰り寄せると、細くて、長くて、たこができているのか少しかたいこれは、多分直の指が、明莉の中に。

 それだけではない。いつの間にか上着も下着も取り払われていたらしく、直の指先が明莉の胸の飾りをとらえた。壊れものでも扱うかのように、親指と中指で両側を支え、人差し指の腹でそっと上から下になぞるようにさすり下ろす。常ならばどれだけ下着に擦れようが軽い痒みや痛み以外感じないその器官が、まるで心臓を直接撫でられているような感覚をもたらした。
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