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性愛執心、或いは劣情パレヰドと淫欲のコンキスタドール
第4章 びやくしょや(なおくんとあかりちゃん)
 造りのよい寝台は軋まなかったが、その代わりとでも云うように、荒い呼吸が、部屋の中に充満している。

「明莉、あかり、」
「直く、あ、ぅ、んぃ、」

 膝裏を押さえられて、ちゅ、ちゅ、微かな水音を立てて、明莉は胎の中を暴かれていた。
 破瓜の証である鮮血が、僅かに溢れている。痛いとは思わなかった。__それがお節介な後輩の仕業であると、少なくとも明莉は毛ほども思わなかったが__。

 すっかり真赤に腫れ上がってしまったくちびるを、再び重ねる。そうでもなければ、また勝手に変な声が出てしまいそうだったから。

 鸛が運んでくるとはさすがに思っていなかったが、明莉は、性交というものを知識として知らなかった。それで事足りたのだ。どこかに無理にでも嫁に行かなければ生活できないほど困窮しているわけでも、積極的に見合いの釣書が来るような家柄でもなかったから。
 それでも、組み敷かれ、からだの内側を明け渡すこの行為は、直以外には許し難いな、と思う。それがどう云う意味なのかも知らず、しかし彼女は「正解」を導き出す。

 心臓がどくどくと乱れる。
 視界がちかちかと点滅する。
 爪先がぴんと伸びて、痺れる快楽が突き抜けて、びくり、痙攣する。

「ん、ひ、ぁ、あ、ああ、ぁ、」
「ぅ、あ、かり、あ、ぁ、」

 女とは云え成熟した明莉の声が、子供のように甲高くなる。
 普段低い直の声が、昔のように甘く高く聞こえる。

 ふたりは昔馴染みのまま、昔馴染みではありえない行為をしている。
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