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あおい風 あかい風
第1章 雨
五月にしては 気温の高い日。
そろそろ帰り支度をする者もいて グラウンドは人まばらだった。碧は 空いている場所があるときに練習をしようと思って残っていたが そろそろ帰るつもりだった。
ぽつっと 短く髪を切り詰めた首筋に 冷たいものが落ちてきた。
空を見上げると 暗くなりかけていたので気がつかなかったが 空は黒い雲におおわれている。
突然 始まった。
重たい雨粒が たたきつけるように落ちてきた。 一気に暗くなり 女の子の「きゃー」という声が ところどころであがった。
雷のごろごろという音。碧は とにかく一番近い建物を目指して走った。雨が降り始めていくらもたっていないのに すでに全身濡 れていないところはなくなっていた。
下を向いて走り たどり着いたのは 体育館の裏だった。髪から落ちるしずくの間から 先客がみえた。
きゃっ 松本大輝だ。
一瞬ひるんだが 跳ね返る雨水で 靴の中にまで水が入り 走るのには気持ちわるかったので とにかく軒下に逃げ込んだ。 彼は ちらっと こっちを見たかもしれない。
しばらくすると 「ひでえなぁ」と言った。
周りには 他に誰もいないから 返事をしたほうがいいかな、と思い「いきなり、でしたね」大輝の顔は見ないで 返事をした。
そろそろ帰り支度をする者もいて グラウンドは人まばらだった。碧は 空いている場所があるときに練習をしようと思って残っていたが そろそろ帰るつもりだった。
ぽつっと 短く髪を切り詰めた首筋に 冷たいものが落ちてきた。
空を見上げると 暗くなりかけていたので気がつかなかったが 空は黒い雲におおわれている。
突然 始まった。
重たい雨粒が たたきつけるように落ちてきた。 一気に暗くなり 女の子の「きゃー」という声が ところどころであがった。
雷のごろごろという音。碧は とにかく一番近い建物を目指して走った。雨が降り始めていくらもたっていないのに すでに全身濡 れていないところはなくなっていた。
下を向いて走り たどり着いたのは 体育館の裏だった。髪から落ちるしずくの間から 先客がみえた。
きゃっ 松本大輝だ。
一瞬ひるんだが 跳ね返る雨水で 靴の中にまで水が入り 走るのには気持ちわるかったので とにかく軒下に逃げ込んだ。 彼は ちらっと こっちを見たかもしれない。
しばらくすると 「ひでえなぁ」と言った。
周りには 他に誰もいないから 返事をしたほうがいいかな、と思い「いきなり、でしたね」大輝の顔は見ないで 返事をした。