この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
あおい風 あかい風
第3章 まよい
土曜日、碧は 練習にまったく集中できなかった。
久しぶりに身体を動かせるのがうれしいのか 大輝は 走りっぱなしだ。遠目にも 背中にタンクトップが汗で張りついているのがわかる。広くて 動くたび筋肉が盛り上がる背中。
すれ違いざま 大輝が ぼそっと「みとれないで練習」と言った。どきどき、する。
11時半くらいに 全力疾走のままの大輝が 碧の前で ぴたっと止まり
「自転車で来たんだ。一緒に帰ろう」
驚いた。周りには人がいて 聞こえないふりをしているが 間違いなく聞こえている。
どきどきして いいのだろうか、と思いながら「はい」と返事をした。
汗拭きシートで いつもより入念に身体を拭き、 着替えて外に出ると 初夏の陽差しの中に 赤い自転車と大輝が待っていた。
今日は 制服だ。いつ見ても 特別だと思う。少し高めの頬骨になだらかな顎。切れ長の涼しげな眼。すっきりとした鼻。ハンサムの部類の顔立ち。背が高く それに見合った肩幅の広さ。ひきしまったお尻。そんな人が 自分を待っていてくれる。
緊張のあまり 足がもつれそうになる。
久しぶりに身体を動かせるのがうれしいのか 大輝は 走りっぱなしだ。遠目にも 背中にタンクトップが汗で張りついているのがわかる。広くて 動くたび筋肉が盛り上がる背中。
すれ違いざま 大輝が ぼそっと「みとれないで練習」と言った。どきどき、する。
11時半くらいに 全力疾走のままの大輝が 碧の前で ぴたっと止まり
「自転車で来たんだ。一緒に帰ろう」
驚いた。周りには人がいて 聞こえないふりをしているが 間違いなく聞こえている。
どきどきして いいのだろうか、と思いながら「はい」と返事をした。
汗拭きシートで いつもより入念に身体を拭き、 着替えて外に出ると 初夏の陽差しの中に 赤い自転車と大輝が待っていた。
今日は 制服だ。いつ見ても 特別だと思う。少し高めの頬骨になだらかな顎。切れ長の涼しげな眼。すっきりとした鼻。ハンサムの部類の顔立ち。背が高く それに見合った肩幅の広さ。ひきしまったお尻。そんな人が 自分を待っていてくれる。
緊張のあまり 足がもつれそうになる。