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Memory of Night 2
第14章 夏休みに向けて

 宵は大山とも三年間同じクラスだった。さらに言えば、クラスは二年の時以外違ったが、中学から一緒なのでだいぶ気心が知れた友人の一人である。
 ただ、最近他校にできた彼女と別れてしまったらしく、恋愛イベントに対して過剰な反応をすることがよくあった。それが若干鬱陶しい。

「あんたの耳は地獄耳か。話を最後まで聞きなさい、あとパン拾いなさい」
「へーい」

 いったん抱えていたパンを全て机に置き、焼きそばパンも拾う。
 ちなみに大山の席は宵の右隣だ。一番左の窓際の席なので、左隣はいない。授業中寝ていても目立たない、ラッキーな席なのだった。

「で、続きだけどね。ほら、この前の文化祭、景品の温泉旅行のペアチケット譲ってくれたじゃん。そのお礼にって思って」
「ああ、あれ。もともと俺じゃなくて、晃が貰った景品だろ」

 季節外れの一月に行われた文化祭、南風祭。宵たちのクラスはそこでコスプレ鬼ごっこをしたのだが、その景品は晃の手に渡った。本当は、宵と晃で温泉に行くつもりでいたが、文化祭の直後、疲れが溜まっていたせいか明が何日か学校をお休みしてしまったのだ。
 多分クラスの誰よりも文化祭準備を頑張っていたであろう彼女に温泉旅行のペアチケットをあげようと言い出したのは晃だった。宵も特に異論はないのですぐに了承して、期限が切れる前にと二人で渡しに行ったのだ。
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