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Memory of Night 2
第17章 台風接近

「電話なんだったー?」

 部屋に戻ると、明が興味津々といった様子で聞いてくる。

「……なんなんだろ」

 隠したいわけではないが、いまいちよくわからないので宵はありのままを答えた。

「あんな鬼電きてたのに、か?」

 大山も隣から割って入ってくる。

「着信七回あったけど、それはスロットの願掛けだって」
「……スロット?」
「おまえの彼女ギャンブルやるのか……」
「…………ギャンブルも煙草も酒も好きだってよ」

 また彼女じゃないと否定して、じゃあ誰かと聞かれるのも面倒だった。バイト先のことに話題が触れても嫌なので、そのまま流すつもりでいた。

「……へー」
「……おっとなー」

 なんとなく深く聞きづらい雰囲気になったところで、春加を知っている晃が小さく噴き出した。
 その時だった。
 強い風が窓を揺らし、ガタガタと不穏な音を立てた。

「風、出てきたね」

 晃が部屋の窓をわずかに開けると、勢いよく吹き込んできた。ふわっと漂う潮の匂い。

「雨は降ってないけど……だいぶ接近してんな」

 宵たちも各々スマホを開き、台風の情報を探した。

「あれ、明ちゃんの叔母さんかな?」
「え?」
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