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Memory of Night 2
第25章 夏の終わり

「酷いことはしないから、もう少しだけ」
「……っ」

 左耳のすぐそばで囁かれる。吐息が耳の中までかかり、ぞくりとした。

「宵の感覚全部、俺のもの」

 のしかかってくる晃の重さ。甘い匂いも、鼓膜を震わせる低音も、温かい手のひらや指先も。

「んんっ」

 口内に押し込まれる舌や唾液の味さえ、宵を興奮させる材料になる。
 唇が離れると、額に再び柔らかいものが触れた。それも多分晃の唇だ。

「俺で感じてよ、いっぱい。会えない時間も決して忘れることがないよう……」

 晃の声は憂いを帯びていた。
 見えなくても、どんな表情(かお)をしているのかわかる気がする。

(独占欲の塊じゃん)

 本当に、呆れてしまうほど。
 それでもその独占欲や執着が嫌いではなかった。心地いいとさえ感じてしまう自分にも呆れる。
 宵は手探りで晃の頬に触れ、そこからゆっくりと唇を探り当てた。自分から口付ける。
 晃の吐息が微かに聞こえた。それは多分、驚きによるもの。
 晃の頭を抱きしめ、告げる。

「……忘れるわけねーじゃん、そんな簡単に。何回……つかどんな頻度でシてると思ってんの。変なプレイも多いし。今さら何をどう忘れようがあるんだよ」
「……本当に?」
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