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Memory of Night 2
第29章 桃華

「ありがとう、いろいろ話してくれて。……でも、意外だね」
「意外? 何がですか?」
「ムキになってハルちゃんにくってかかってた声が、実は少し聴こえちゃって。ハルちゃんが君のお母さんと知り合いかどうかに、すごくこだわるんだね」
「……ああ」

 確かに、だいぶ食い下がってしまった。

「そんな、大した理由じゃないんですけど」

 一瞬口に出すかどうか迷ったが、ここまで話しておいて、今さらその理由だけを隠すのはばからしく思えた。

「……仲良さそうって思うでしょ、俺の両親。俺もずっとそう思ってたんすけどーー実は事故で死ぬ前、離婚しようとしてたんですよね。離婚届、役所に出しにいくとこだったんです、あの日」
「……え?」

 桃華のある言葉が甦る。
 亡くなる少し前だった。真夜中、漏れだしていた明かりをたどり隣の部屋に行くと、桃華だけがいた。宵を手招きし、抱きしめた腕の中で桃華は囁いた。

 ーーおまえさ、あたしとパパが別々に暮らすとしたら、どっちと一緒にいたい?

 衝撃だった。それが何を意味するのか、なんとなくだけど理解はできていた。
 何も答えることができない宵に、桃華はさらに続ける。

 ーーパパんとこ行けよ。あたしなんかといるより、その方が幸せになれるから。
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