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Memory of Night 2
第30章 花魁ショー

「無視でいいのに」

 そもそも、なぜ番号を知っているのか。

「七時からだってね。行くよ」
「……は!? それこそ、なんでだよ! 断りゃいいじゃん。予備校だろーが」
「そんなに長い時間やらないだろう。明日は、ショーだけ見てから予備校に行くよ。その花魁ショーの人、君にポスターの話を持ちかけた人でしょう? アメリア先生、だっけ?」

「まあ……」

 ふと、初対面の時挨拶代わりにキスされたことを思い出し、宵はぶるりと体をふるわせた。突然だったし、逃げる隙もなかった。まさかキスされるとは思わなかったし、不可抗力のはず。
 後ろめたくなる必要はないのに、もし晃にバレてしまったらと考えと、背筋に悪寒(おかん)のようなものを感じてしまう。

「勉強してろって」
「……なんで? 俺がいたらまずい理由でもあるの?」
「そうじゃねーって」
「なら、いいだろう? 君の仕事の邪魔はしないから」
「……一人でくんの?」
「そのつもりだけど。誰か一緒に連れてきてほしいのかい? 大山くんと明ちゃんでも呼ぶ?」
「バカ言うな、いろいろバレるだろ! つか、18歳以下禁止の店だっつの」
「ははは、冗談だよ」

 と笑う晃に、宵はため息をつき、味噌汁のお椀に口をつけた。明日は忙しくなりそうだ。
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