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Memory of Night 2
第7章 緊縛イベント

 スタッフルームには誰もいなかった。だから良かったものの、本来であれば働いているスタッフ以外立ち入り禁止の場所だ。四畳ほどのスペースに、休憩用のテーブルが一つ。横には貴重品を入れておくための鍵突きのロッカーがある。そのさらに奥には人が二人やっと入れるくらいの更衣室があり、スタッフは皆出勤時と退勤時にそこで着替える。もちろん晃も入っていい場所ではない。
 だが止めようにも、宵の腕を引く晃の様子には有無を言わせない迫力があった。

「勘違いしてない?」

 スタッフルームに押し込まれ、ドアを閉めるなりそう問われる。

「何を?」

 そもそもなんのことについての話なのかもよくわからないくらい、晃の言葉は唐突だ。

「興奮しちゃうって言ったのは、あの女性に対してじゃないよ。宵が透け透けの服着たり、赤い縄で全身縛ってるの想像したらたまらないなって思っただけ。この店いろんなお客さんがいるから、刺激的だよね。いろんな妄想掻き立てられる」
「……勝手に変な妄想してんじゃねーよ、変態」

 まだ掴まれたままの右腕を振り払う。

「おまえが誰に興奮してたってどうでもいい。元々女好きじゃん、今さら」

 気付けば背に腕をまわされ、逃げられないようガードされていた。
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