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Memory of Night 2
第48章 すれ違いの行方

宵が十分ほどで部屋に戻ると、晃もちょうど洗い物を終えたところだった。
「相変わらず早いね、風呂。ちゃんと髪乾かしな、風邪引くから」
「……」
宵は晃の言葉を無視した。風呂で一人でもんもんと考えていたら、無性にイライラしてしまったのだった。
晃は一瞬困ったような、寂しそうな笑みを浮かべたもののそれだけ。
「俺もシャワー浴びてくる」
そう言って、着替えを持って部屋を出ていってしまった。
ソファーに座ると、先ほどのハーブティーがラップをかけた状態で置かれていた。飲まなかったから、冷めないようにわざわざかけてくれたのだろうか。
(相変わらずマメ……)
ラップを外し、一口飲む。保温効果は高かったらしく、マグカップも中の紅茶もまだ温かくて美味しい。
しばら琥珀色の液体を見つめ、宵は思い立ったように浴室へ向かった。
ーー晃から求めてこないなら、こちらから誘えばいい。正直苦手ではあったが、晃からの愛情は言動や行動からちゃんと伝わってくるのだ。冷めてしまったわけじゃない。
宵は脱衣所のドアを開けた。晃はたまに宵がシャワーを浴びている時に入ってきたりしたが、宵から浴室を覗いたことは覚えている限り一度もなかった。
(いや、別に覗こうとしてるわけじゃねーけど)

