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Eat me 完熟媚肉と秘蜜のレシピ
第2章 2皿目
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 かさかさ、ガサガサと二つの袋を左右に揺らしながら自宅に着いた私は、目の前の光景に眼を見張ることしかできなかった。

 ドアの奥は闇一面の景色が毎日広がっていたのに、今日はどういうわけか明かりが着いている。消し忘れたのかと思ったけど、玄関にある不揃いに脱ぎちらかした靴を見つけて、珍しく夫が早く帰ってきたことを悟る。

 なんとか4年続いている夫婦生活の中で、一体いくつこのようなことがあっただろうか。結婚したては仕事が忙しいんだよねって思ってたけど、いつしか特に理由がなくても遅くに帰ってくるのが当たり前になってしまった。

 きっと私に飽きたんだ。どこが悪かったのかな。そんな風に誰もいない家で一人自分を責める毎日と、ドアの音と共に今日こそはと奮起する毎日がずっと続いていた。その頑張りは一体なんだったんだと大声を出したくなる光景が、目の前に広がっていた。

 私は自宅にも関わらず、忍び足で恐る恐るリビングへと近付く。明かりが着いている。いつもは無い見慣れた靴がある。そして誰かの気配がある…それでもそれが夫のものだとは限らない。今まで一度たりとも私より早く帰ってきたことがないのだ。何か特別なことがあったわけでもない…し…

 ううん。あれは、夢、だから…

 何も無いのに、こんな4年に一度の奇跡なんてあり得ない。きっとこれは泥棒に違いない。もし鉢合わせてしまったら、護身用のスタンガンも持ってない女の私では容易く口封じされてしまうに決まっている。私の姿を見られないように、かつ相手の姿を捉えて警察に通報する。失敗すればお陀仏のスニーキングミッションに、私は心拍数を最大限まで高めながら、廊下のドアの隙間からリビングをそっと見やる。
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